FIND OUT



 あれ?オレ寝ちゃってたんだ……

 ベットの近くにある時計を見ると午前十時。
 明け方の二時までは記憶があったんだが……つか。オレ何時ベットに入ったんだっけ?

「おはよ……う?」

 部屋からでて、いるはずの柊や奈千佳さんや志乃ちゃんに挨拶をしようとしたはずなんだが。なんだこの静けさは。

「………………あ」

 そういえばこの間志乃ちゃんがホワイトボード(別名:生存確認一覧表)買ってきたんだっけ。

 えーっと。あー。そういえばそうだった。

 ホワイトボードには近場のテーマパークの名前と柊&奈千佳の文字が殴り書きされていた。
 その横に丁寧な字で大学の友達と遊びに言ってきますの文字。

 ……オレもしかして今日独り寂しく留守番?

 いまに始まったことじゃないが、そういえば奈千佳さんが来てからは極端に減ったような気がする。
 それは多分、頻繁に志乃ちゃんが出入りするようになったからだったり、柊が休日に遊びに行かなく(行けなく)なったりとかする所為な面もあるだろう。

「あー……」

 なんだか久々の感覚に少し戸惑う。
 オレどうやって過ごしてたんだっけ。

 とりあえず喉が渇いたのでキッチンに向かい、冷蔵庫を開け、缶コーラを取り出す。

 白の冷蔵庫に貼られた白いメモ。

『ちゃんとご飯は食べる事 志乃』
『夕飯には帰ってくるから食っておけ 柊』
『くてらー』

「くっ……あはははは」

 一体皆さんオレをなんだと思ってらっしゃるんだ。
 はいはい食べます食べます。

 ダイニングの上におかれて居るのを発見されたオニギリ(鮭)を頬張りながらぼーっとベランダ越しに見える空を仰ぐ。

 雲が流れていくのが綺麗だと思った。
 壁時計は玄関にしかないから、音もない。
 相当風が強く吹いているのか、新緑が拡がり始めた木々の揺れる音が聞こえる。

 そしてオニギリを食うオレ。
 なんともまったり貴族生活万歳。

 いつも以上に時間をかけて朝食兼昼飯を終える。

 腹の皮が張ると目の皮って弛むよな。うん。

 皿をそのままにしておくのも何だか悪くて台所にさげ、そのまま自分の部屋へとのそのそとすっこむ。
 倒れるようにベットに入ると、外の微かな風の音と、マットレスを伝って聞こえる自分の心臓の音が混ざり合って眠気をさらにさそった。

「……しあわせだー」

 どうせ誰もいないから口にしてみる。

 オレはそのまま眠りについた。










 ガチャリ












 普段なら絶対に聞き逃しているようなドアの開閉の音にベットから飛び降り(落下)した。
 外をカーテン越しに見ると既に薄暗い。

 くすくすという笑い声と、特徴のある軽い足音。たぶんこれは奈千佳さんのだ。
 その後に続く足音は、柊ってことか。
 一体全体オレはどのくらい寝てたんだか。

「ひぃー。今日のこと内緒だよ?」

 オレが寝てるとでも思っているのか、なんなのか、奈千佳さんは声音を落とす事無くリビングの方で喋っている。

「……あのなぁ。一応俺らは愛人関係なんだぞ?そういうことの一つや二つあったって」
「よくなーい!恥ずかしいじゃないか!」

 思わず聞き耳を立ててしまう。

「誰にだよ」
「……えっと、夜人くん」

 オレ?

「だってさ、ほら、一応。一緒に住んでるし、気まずくなるのもあれだし」

 ボスッ

 しまった。枕おとしちまった。

「夜人?起きてんのか?」

 柊の足音がドアに近付きとまる。オレは今起きました的な顔を作ってベットのうえに座った。

「夜人?」
「んー?あー。柊。帰ってきたのか」
「ああ、ただいま」

 柊はドアをあけてオレの顔を確認すると納得したようだった。

「おかえり」
「腹、すいてるか?クッキーあるぞ?」
「くう」

 もそもそと立ち上がりリビングへ向かうと、うきうきとぬいぐるみ(30cm四方)を抱き締めている奈千佳さんを発見した。

「あ、夜人くんただいまー」
「おかえりなさい。奈千佳さん」
「いま、なんかいれる。奈千佳、なにがいい?」
「なんでもいい」

 柊が台所でやかんに火をつけたなーと思ったら、ドアが再び開いた。
 合鍵を持っているのはあとは一人だから、入ってくるのは志乃ちゃんだろう。

「ただいまー!きいてー!パスタの麺が安かったのー!!」

 買い物袋を掲げて、勝者の顔をしながら台所に入っていく志乃ちゃんを見ながら、オレはお土産のクッキーを頬張る。




――結局。柊と奈千佳さんの会話はなんだったんだろうか。




 なかなかに昼ドラみたいな展開が浮かんだが、すぐに掻き消えた。この二人には似合わ無すぎる。ホームドラマならまだしも。





 もしもあの時
 ちゃんと聞いていたなら
 あんな事態はまぬがれたのかもしれない




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