FIND OUT


 あれは結局なんだったんだろう。


「悪い。俺ちょっと一週間ばかし消えるわ」

 高校の卒業式の日に、柊はぽつりと呟くように言った。オレはもちろん聞き返したが、そんなの聞くような奴でもない。
 そのときはいつもの冗談だろうくらいにしか思っていなかった。大体にして消える消えると言っていても本当に消えることなんて一度も無かったのだから信じろというほうが無理なくらいだ。

 翌日、オレの携帯に志乃ちゃんのメールが入ったのを口切にひっきりなしに連絡がきた。口々に揃えるのは柊の行方のことばかりで、オレは心当たりにたどり着くまで時間がかかった。柊の両親からも電話が来て、みなと同じようなことを聞いてきた。
 両親曰く、今まで使っていた携帯が柊の部屋の机の上に置いたままになっているらしい。片端からアドレス帳に入っている連絡先をあたっているのだそうだ。
 実際オレが知る限り、柊は親に自分の居所を明示しておく奴だった。オレと知り合った頃にはすでにそうだったから、恐らくそう躾けられたんだろう。
 今だってそうだ。生存確認一覧表にしっかりと大学の先輩の手伝いにいくことが書いてある。まるでそれが当たり前のことのように。

 深夜ジャスト十二時に柊からメールが入った。携帯を置きっぱなしにしているはずなのに、着信画面は柊と示されていた。
 あいつは、そっとオレの気づかない内に新しい携帯の情報を古いものと書き換えていた。気づいたのは情けない事ながら柊が帰ってきてからだけれど。

 結局帰ってきたのは丁度一週間たってから。何故か頭から軽く血を流し、どろどろの服での帰宅だった。
 まさか怪我をして、若干痩せている息子を叱り飛ばすこともできず、一夜の喧嘩で事は収まったらしい。
 オレが帰ってきたのをしったのは、柊がメールで報告をしてきたから。
 直接あったのは、次の日の午後で頭には包帯がまかれていて、心なしか少し痩せていた。

 柊はオレの部屋に入るまで一言も喋らなくて、部屋に入っていつものように地べたに座ってオレがドアを閉めて向かいに座るのを待っていた。
 そうして、一呼吸置いて柊が口を開く。

「ただいま」

 柊の第一声はそれで、言ったかと思うと抱きついてきやがって。

「おかえり」

 いつの間にかオレの方が少し高くなっていたことにいまさらながらに気づいた。

「もう……いかない」

 柊はオレに抱きついたまま目を閉じた。


 そこから先はいつものとおり、柊は寝てしまいオレも眠ってしまった。オレの親に叩き起こされて、柊が笑顔で言い訳をして、帰っていった。





  今の柊の目は

  あのとき閉じた瞳と

  同じ目をしている





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